大日経の三句について(2017年7月テレフォン法話)

今月は、大日経の三句についてお話しいたします。
大日経は、金剛頂経と並んで真言宗の最も大切なお経とされています。
その大事なお経の中でも、三つの句がさらに重要とされて「大日経の三句」と
いわれているものです。それは、菩提心を因となし、大悲を根となし、方便を
究竟となす。というものです。
一つ-つ見ていきましよう。最初の菩提心を因となしですが、菩提心は仏教用
語で少しでも悟りに近づこうとする強い決意をあらわしますが、私たちが日ご
ろ自分の目的に向かって強い気持ちで立ち向かおうとするその心構えが出発点
ですよということです。
つぎに大悲を根となしですが、大悲も仏教用語であらゆる生き物を憐れみ救済
しようとする心を意味しますが、人間が本来持っている困つている人、苦しん
でいる人、悩んでいる人、悲しんでいる人や動物を目にすると、なんとかして
あげたいという慈悲の気持ちが心の中から湧いてきますが、この人の心のなか
に持っている優しさが基本となりますよということです。
 最後の方便を究竟となすですが、方便も仏教用語で社会に対する働きかけと
いった意味ですが、要は自己の社会的使命を果たすために行動に移すというこ
とでしようか。究竟となすですのでこれ以上のことはないと結んでいます。
 まとめて言いますと、人生で大切なことは、人間としてこの世に生まれ、限
られた命をいかに正しく使うかを日々深く考える、その考える基本とするのは
人間が生まれつき持っている悲しみ苦しんでいる人や動物を助けてあげたいと
思う心に基づくことであり、最も大切なことは自己の生きる目的が見つかった
ら実行することと断じているのです。
 この大日経の三句は、真言宗の御本尊である大日如来自ら語られたお言葉と
して重要視されているもので、三句どれも大事なお言葉ですが、最後の行動す
ることが最も大切なことと言い切っておられることに大日如来の真意が込めら
れていると感じます。
 私たち人間は、大変ありがたいことに自分の生き方は自分で考えることがで
きます。しかしながら、どんなに世の中で大切なことを考えたとしても、実行
しなければ何にもなりません。やらなければいけないと思ったらどんな困難が
あっても行動しないといけない、ということは分かっていてもなかなか一歩が
踏み出せません。
 振り返って周りを見てみますと、障害者や高齢者、病気の方々等に自己を犠
牲にしても一生懸命尽されている人を多く見かけます。なんと素晴らしい人た
ちなのか、人は生まれながらにして仏であるという、真言宗の宗祖弘法大師様
のお言葉が思い起こされます。
 本当に、この大日経の三句を実践されておられる人が世界に満ち溢れている
ことを申しあげて結びとさせていただきます。
 正覚寺テレホン法話をお開きいただき、ありがとうございました。


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