自らの死を意識したときに何をなすべきか(2019年3月テレフォン法話)

今月は、自らの死を意識したときに何をなすべきか考えてみたいと思います。
先日タレントの堀ちえみさんが舌がんを公表し、ステージ4でリンパにも転移していて「このまま人生の幕を閉じてもいいのかな」と考えるはど大変厳しい状況とプログで告白されました。
しかし堀さんは、家族のために私はまだ生きなければならないと気持ちを切り替え、彼女の言葉を借りれば「長くつらい闘病にチャレンジすることを決意しました。私は負けません。力いっぱい戦って必ず戻ってきます。」と語っています。なんと強い女性でしょう。今までも7人の子供を育て、タレント活動をしながら数々の難病と闘って復活を果たした堀さんでないと言えない言葉ではないかと思われます。彼女が再び舌癌に勝利し、家族とフアンのもとに元気な姿で戻ってこられることを願わずにはおれません。
堀さんは、手術を前にしたプログで「今回舌癌になったことで失うことより得ることのほうが多い、貴重な体験を得たと思う。私は命と心の勉強中です。」と語っていますが、人間的に一段と大きく成長されたと感じます。中でも命と心の勉強中という言葉に強く打たれました。人は自らの死が日の前にちらついたとき何をなすべきか、それはまさに堀さんの言う命と心の勉強をすることに尽きると思います。死の恐怖と不安を前にしてこんな大事なことに気づくことができるなんて、本当に仏様のような素晴らしい人だと改めて感心させられました。
堀さんは手術が無事終わって病床にありながら、命とは何か、私はどうして命を得ることができたか、命はどう生かすべきか、命はどうしてな<なるのか、命の終わりには何をなすべきか、命はどうつながっていくのか、などなど静かに思いを巡らせていることと思います。また自らの心を見つめながら、私の心は今正しい状態にあるだろうか、平静を保っているだろうか、周りの人たちに心配りができているだろうかなども考えておられることと思います。
私はこんなに強い気持ちを持っている堀さんなら、早いうちにこの命と心の勉強に正しい答えを見つけることができて、穏やかな気持ちで笑顔で闘病生活を送ることができるものと確信します。そして再び復活を果たし、皆さんの前で堀さんが病床で学んだ命と心の勉強の成果をぜひとも聞かせていただき、私自身勉強させていただきたいと願っています。
堀さんの言葉からお二人のお言葉が思い起こされました。お一人は日野原重明先生の子供たちに贈った俳句「君たちの使える時間それが命」です。そこから見えてくるのは誰でも命に終わりがあり、生きている間は死の寸前まで命の火を燃やし続けることが大切と言われておられるのかと思います。
つぎにお釈迦様臨終のときのお言葉「君たち心を開きなさい。そのように悲しんではならない。常に怠けず、心を律し、もろもろの悪を離れ、心を休めて幸せを味わえ。」です。釈迦はどのような状況においても心を乱してはならない。正しい判断ができるように常に心を整えなければいけないとおっしゃっているように思います。
全てのがん患者の方々の平安を祈ります。


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