樹木希林さんの言葉について。(2018年10月テレフォン法話)

今月は、先月9月15日に亡くなられた女優の樹木希林さんの言葉についてお話いたします。
私は希林さんについてあまりよく知りませんでした。個性派の面白い女優さんぐらいの知識しかありません。ところが希林さんが亡くなられてテレビでたびたび特集番組が放送されましたが、テレビの向こうから発せられる希林さんの様々な言葉に目と耳が釘付けになりました。
人の言葉にこれほど感動した経験はあまりありません。希林さんの言葉がこれほど心に響くのは彼女が真正面から自分の人生に向き合い、その深い感性で喜びも苦しみも悲しみも感じ取っていたからに他なりません。
私が感動した希林さんの多くの言葉から、仏教の教えに通じると思われる二つの言葉を紹介します。その一つは「人間は覚悟を決めるとずいぶん生き易くなるものよ」というものです。人は他の生き物と違って考えて行動することができます。そのことによって正しい生き方ができますが、反面考えすぎて悩み苦しみます。その証拠に自殺する生き物は人間しかありません。しかし人間には覚悟を持つことができるんだよと希林さんは教えています。ひとたび覚悟を決めれば他人に何を言われようが何をされようが何も気にならない、迷わず覚悟を決めた道を歩むだけということになり、確かに楽に生きられそうな気がします。
希林さんの生涯をみますと様々な困難に遭遇しますが、その一つに再婚したご主人の内田裕也さんが勝手に離婚届けを出してしまうという出来事がありました。その時彼女は離婚は認めず別居という夫婦の在り方を決意しましたが、これも希林さんの覚悟の一つかと思います。私は覚悟とは仏教の目的である悟りではないかと考えます。
もう一つの膏薬は「生きることも死ぬことも日常、私は生きることがいいことで死ぬことが悪いこととは思わないの」というものです。生きることも死ぬことも日常とは、生きることも死ぬことも日常起こる至極当たり前のことということを言われていると思われます。確かに生き物の生き死には地球上の自然現象で春に草花が芽吹いて地上に現れやがて冬には枯れてしまう、人間の生き死にも同じということでしょう。生きることも死ぬことも日常の自然現象であれば、どちらが良くてどちらが悪いとかいうことではなく、どちらも当たり前のことこととして受け入れるべきなのよ、と希林さんは教えておられるんだと思います。この希林さんの言葉に釈迦の教えである諸行無常の響きを感じます。諸行無常はこの世にあるものは全て変化し続けており必ず消滅するものというものですが、私たちは希林さんの言葉のように人間の生き死にはこの世のものは全て変化するという宇宙の真理と受け止め、死を恐れるべきではないと知るべきと考えます。
希林さんの素晴らしいところは、様々な聞く人の心に響く言葉を発信されましたがそれを全てご自分の行動で示されている点です。自ら全身ががんに侵されていることを公言されていましたが、14年もがんと闘いながらその間周りに苦しみや痛みを訴えることなく、毎年テレビや映画に数多く出演して名演技を披露披され見る人を魅了しました。希林さんの素敵な人生に感謝を込めて合掌。


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