「盲ろう者の方の施設」で目にしたことについて(2019年11月テレフォン法話)

 今月は、「盲ろう者の方の施設」で目にしたことについてお話します。
 盲ろう者とは目が見えなくて耳が聞こえない人のことです。NHKのEテレで、日本で初めて大阪に盲ろう者の施設グループホームができたということで、入所者の生活ぶりが紹介されていました。私はもし自分が目が見えなくて耳が聞こえないとしたらどうして生きていったらよいか全くわからず、暗闇と音のない世界に取り残されてただただ絶望するだけだと考えてしまいます。ところが想像に反して、施設に入所している10人の盲ろう者の方たちは一人一人個性を発揮し、普通に団体生活を送っているように見えました。
 会話の方法は二通りで一つは指点字といって互いに指を叩いて、どの指のどこを叩くと何の文字といった決まりがあるのでしょうか、もう一つは手話を指で触って言葉を理解するというもので、両方とも24時間通訳介助の支援者が常駐していました。それにしても指を叩くだけや手話を触るだけで会話ができるとは、盲ろう者の方や通訳介助の支援者の方の集中力は想像を絶するもので、私には到底不可能と思って見ていました。
 60歳の男性の方は毎日掃除と洗濯を欠かさないそうで、指時計の針を触って洗濯機の時間を確認し、その間に床や物の上を触ってほこりがあれば掃除機をかけ、拭いていました。料理当番の人は食材を触って確認し上手に食事を作っていました。66歳の男性は15歳で失明したそうで普通に話していました。ここの生活は一人で自由にできて楽しいです。29歳まで家に引きこもっていて本当に苦しかったと言っておられました。全員の誕生会をやるそうですが、どんなサプライズをやるかみんなで相談し、19歳の女性の時はプレゼントを渡すとき花吹雪を撒こうということになりみんなで準備し行いましたが、一番若い入所者の女性の方は見えない目で喜びを表現していました。
 このように見えなくて聞こえない盲ろう者の皆さんが、普通の人と同じように
できることを自ら行い団体生活を送っておられる姿を見て、釈迦の教えの「全ての人間は優れた知恵と慈悲の心を持っている」を強く感じました。たとえ盲ろう者となっても自らの智慧を発揮し、周りの方の智慧に助けられ絶望の淵から立ち上がって自分らしくたくましく生きておられます。また、通訳介助者の方や同じ盲ろう者で施設の理事長を務める53歳の男性の方など多くの支援者の方々が、昼夜を問わず献身的に入所の皆さんを支えておられます。入所の盲ろう者の方々がお互いに他の入所者を気遣い助け合っていることと共に、テレビの画面に見る皆さんが人が本来持っている慈悲の心を発揮されておられると感じました。
 施設の理事長さんが、まだまだ通訳介助者が足りない等の課題があるので、ぜひ盲ろう者を支援しようとする人が増えてほしいと話しておられましたが、盲ろう者支援の重要性を多くの方がわが身に置き換えて受け止めていただければと願うのみです。
 最後に、テレビに映る盲ろう者の方々がご自分の障害を不幸と思わず、一生懸命生きようとする姿に深い感動と尊敬の念を憶えました。


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